クロースアップマジックは特にそうですが、観客にマジックのお手伝いをお願いすることがあります。
例えば、カードを引いて覚えてもらったり、道具に怪しい点がないか改めたり、状況を確認してもらったりといろいろと作業があります。
観客が、その操作をすることに一生懸命になりすぎると、マジックの現象を見逃したり、不思議な点を理解できなくなったりしてしまいます。
マークと数字をずっと覚えながら、演者の細かな操作を見て、状況を理解するというのは難しいものです。
マジシャンは、そういう状況に慣れていますから、それほど苦も無く現象を理解することができますが、それもこれまでの訓練のおかげです。
たまに、マジシャンの中にもカードを忘れたりする人もいますけどね。
これは、どうせ当たるから覚えておかなくてもいいや、という考えがあったりするのですが、たまに失敗したと見せかけてどんでん返しをするサカートリックの時に困ったりします。
覚えたカードの数字の分だけ配ると出てきたりするので、忘れられるとただ失敗したところで終わってしまったりもします。
訓練されたマジシャンでさえ、忘れる状況があるので、マジックを見慣れない人はなおさらです。
観客の労力は必要最小限にとどめて、できるだけ現象にのめり込めるように誘導しましょう。
前回のブログでも少し触れました、操作だけでなく、心理的負担も減らせるようにしましょう。
よくある場面だと、複数回カードを当てるような手順で、その都度カードを選びなおしたり、コレクターのような現象で、一度に複数枚のカードを覚えなきゃいけない状況があったり、現象を組み合わせすぎて、複雑になりすぎたりといったものがあります。
カードを複数枚当てる手順なら、サインを書かせたり、同じ数字のカードばかりを取り出す手順にするなどの工夫が必要です。
別のところでも書きますが、不思議さのポイントがどこにあるのかを理解して手順を組むようにしましょう。
観客に不要な労力をかけずに、クリアーに現象を伝え、演技にのめり込んでもらえるようにしましょう。
次回「ネクタイの曲がりは甘さ」
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